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夫との出会いから生まれた「ポジティブな欲望」が私の画家人生を180° 変えてくれた【後編】

不思議なモチーフを色鮮やかに瑞々しく描く、画家の雨あかりさん。インタビュー後編では、雨さんの作品づくりへの姿勢やこだわり、そして今後のチャレンジについてお話しいただきます。

外とのつながりを求め、 “届く” 作品をつくる

—— 雨さんの作品といえば、瑞々しいカラフルな色彩が印象的です。こういった配色には、どんな意図があるのでしょう?

作品には自身の欲望を詰め込みつつも、半分は作品を受け取った方がインテリアとして飾れるように、配色だったり、ルールだったり…を考えて制作しています。

—— 具体的には、どんなことを考えているんですか?

例えば、一般的なお宅の壁面に合う色彩にする、暴力表現や性的表現は一切出さないなどの基本的なことから、ちょっとした小ネタを仕掛けて「あ、ここにこんなものがある!」「かくれキャラがいるよ!」みたいに発見を楽しんでもらえるような工夫をするとか、コレクションしやすいよう SM〜20号縛りで描くなどですね。

—— かなり戦略的に制作されているんですね。

そうですかね(笑)。でも知り合いのお宅を訪ねる機会があれば、壁に飾ってある絵をチェックしたり、コレクターさんたちとお話する機会があれば、どのサイズの作品が一番コレクションしやすいのかとか、日常的に情報収集はしています。

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—— なぜそのように、受け取り手のことを意識されるようになったんですか?

ポジティブな作品を描くようになってから、いろいろと思うところがありまして。

独りよがりなものだけではなく、作品を見た方が自宅に飾りたくなるとか、食卓に飾ったら食欲が湧いてくるとか、たまに棚から引っ張り出しては「あ、かわいい!」って思ってくれるとか。

そういった “外とのつながり” がもっとあってもいいんじゃないかって、思い始めるようになったことがきっかけですね。

—— “外とつながっていく” 作品を描いていきたいと。

そうですね。もっと自分の作品がいろんな方の元へと渡って、そしてその人の感情を動かすものになってくれたらいいなとの思いから、相手にきちんと “届く” サイズやモチーフ、色彩というのを意識しながら制作しています。

—— なるほど。相手にきちんと届く作品を作っているんだと。

作品を買ってくださった方から、後日きれいに額装された写真とメッセージをいただくことがよくあるんですが、そういった便りをいただくのは本当に嬉しいです。

また、私の作品を購入したことをきっかけに絵のコレクションを始めたという方もいらっしゃって。私の作品がフックとなって、他の作家さんやアート自体にもっと興味をもつようになってくれたことは、すごく嬉しかったですね。

雨あかりさんの作品

Works1

きちんと調べた上で “流行り” を盛り込むのがこだわり

—— 制作するにあたってのこだわりをいくつか挙げていただきましたが、モチーフなどはどのように考えているんですか?

描くものは、そのときの流行りに合わせるようにしています。

いろんな展覧会に足を運んでは、どんなモチーフが多く描かれているのか、どんな色味が流行っているのか、どこのメーカーの画材が良いのかなど、そのとき時の流行を必ずチェックするようにしています。

現在は、昨年日本に上陸したばかりの水彩メーカーの絵の具を使って制作しています。水彩メーカーの絵の具を6種類試してみて、一番発色がクリアだったので。

話は逸れましたが、やはり流行や最新のものに乗ることは大事だと思っているので、きちんと情報を仕入れて、流行りの要素を盛り込む点はこだわりのひとつですね。

—— きちんと流行りを調べて、そして作品に取り入れているんですね。

ギャラリーのオーナーさんとお話する機会があれば、そのときは「今流行っているものは何ですか?」と尋ねるようにしています。でも毎回、私の描けない「美人画」と言われるので、それ以外のテーマをいま頑張って考えてますけど(笑)。

現在の私の細かくてキラキラした作風も、ギャラリーのオーナーさんと話し合いながら試行錯誤した結果、生まれてきたものなんです。なのでまた別のトレンドがやってきたら、私の作風もどんどん変わっていくんだろうなと思っています。

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—— 美人画以外では、どんな絵が流行っているんですか?あるいは流行ったものがあれば教えて下さい。

あんまり突っ込んだことを言うとややこしいツッコミが入るのでぼかしますが、やっぱりその時代のカルチャーや空気から流行りのタッチや色彩が生まれてますね。

最近の「流行」は、SNS等で有名な絵描きさんの影響というのがすごく強いんですよ。その方が何かしら “映える” 絵を描くと、インスパイアされた人たちによってそれが一気に広まっていくという感じです。あとやっぱり覇権アニメや某動画サイトが与える影響も強いです。塗りとか構図とかキャラクターのデザインとか。

ただオンタイムで流行っているものって、何となく感覚的にはつかんでいるんだけど、はっきりと言葉で言い表すのは難しいんですよね。流行って、それが去ったあとに「ああ、あれすごく流行ったよね」みたいに言えるところがあるので。

すでに流行ったものでいえば、ううむ...。ああ、でも「これはもう時代遅れです!」って言い切ってしまうと炎上するので言えません。燃えカスにはなりたくないので...(笑)。

—— たしかに...(笑)。ちなみに、流行はおもにSNSからキャッチされるんですか?

そうですね。SNS等のタイムラインをざっと見ながら、「今はこういうのが来てるんだな」とか、そのとき時の流行りを把握することは多いです。

—— SNSが情報を得る手段としては、一番適しているということ?

SNSもそうですけど、リアルも同じくらい大事ですね。いまは、SNSで会った人とリアルでも会うとか、その逆も然り、もはや境界がなくなっていますし。

SNSでなんとなくのぼやっとした流行をとらえつつも、展覧会で実際の作品を見たり、作家さんと話したり、ギャラリーのオーナーさんに相談したり。こういったリアルな活動も同じくらい重要で、どっちかだけでは決してないですね。

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アーティストではなく「商業画家」

—— 最後に、今後のチャレンジについて教えてください。

今後は、もっとモチーフへの知識をつけて、作品に深みを出したいと思っています。

いまはインテリアとして飾れるかどうかとか、直感的に「お、かわいい!」と思ったものを描くことが多いので、モノの構造や機能、成り立ち、そういった知識をきちんと身に付けることで、作品世界にもっと奥行きを持たせたいですね。

あとは、客層を広げていくこと。今は比較的若いコレクターさんが多いんですけど、それ以外の層には余り届いていないので。

個人的は、かなりマニアックな方とかがいいですね(笑)。先ほどの知識を深めて作品に奥行きを持たせることにもつながるんですけど、ひとつのジャンルにすごく精通された方とか、◯◯モチーフしか収集しないコレクターさんとか。私がもっと知識をつけて、プレゼンなどを通じたコミュニケーションを楽しめたらなぁと思っています。

それと、とても大事なことは、画廊の方やコレクターさんたちと誠実に向き合うことですね。彼ら・彼女らが居てこその作家なので。時候のご挨拶なども出したいのですが、迷惑かな?とためらって出さないことが多いのですが…。

—— 雨さんのように、課題を具体化して取り組んでいる作家さんって、けっこう珍しいのではないでしょうか?

私は、自分はアーティストではないと思っています。アーティストではなくて、どちらかというと「商業画家」ですね。

この配色は一般家庭のインテリアに向くとか、このサイズのほうが売れやすいとか、このぐらいの価格でないと売れなそうだとか、そういったことを考える「商業画家」です。

—— なるほど、「商業画家」ですか。

はい。なので、私は作品制作に関しては “絶対に手抜きはしない” です。

出展する作品は、細かく区切って写真におさめて、Photoshopで拡大しては、細部までしっかりとチェックします。肉眼では気づけない汚れや塗り残しがないかとか、本当に細かく見ていきますね。第三者視点ということで、たまに夫に見てもらうこともあります。

これをしなかったら、“商品” として成り立たないですし、買っていただいた方々にも失礼に当たりますので。うーん、なんだか棘のある言い方になってしまってすみません...。

いろいろと言ってますが、作品を見てくださることは大歓迎ですので、ぜひお気軽に展示等へ遊びにいらしてください!

—— 旦那さまとの運命的な出会いから、作風も作品も大きく変化したという雨あかりさん。大きな変化を楽しみながら、「人に買ってもらえる、コレクションしてもらえる作品」を戦略的に考え制作されている雨さんからは、人に対する誠実さを強く感じました。本日はありがとうございました!

文:mecelo編集部 / 撮影:photondo 安藤博美 / 画像調整:雨あかり

雨あかりさんインタビュー 前編はこちら

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