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まるで “ご近所さん” のような、自由で気楽で、親しみを感じる世界を描きつづけたい【前編】

動物たちの話し声が聞こえてきそうな、ほのぼのとした楽しい絵を描く chitose chitoseさん。インタビュー前編では、絵を描くようになったきっかけから、作品のテーマ、そして現在の作風に至るまでの紆余曲折についてをお話しいただきました。

絵に関わる仕事がしたくて、クリエィティブの道へ

—— いつ頃から絵を描いているんですか?

絵を描くこと自体は、小さい頃から好きでした。

小さい頃って、何を描いても褒めてもらえるじゃないですか。そういう意味でも、絵を描くことは好きな遊びのひとつでした。

とはいえ、描くことが特別に好きだったというわけではなくて。美術館や展覧会へ行くようになったのも、絵本を頻繁に読むようになったのも、高校生になってからでした。

—— アートや絵が気になり始めた高校生時代、よく絵は描いていたんですか?

当時は、趣味程度でした。学校生活ではアートとは関係のない部活に打ち込んでいたので、絵は週末や時間のあるときに描くくらいでした。

—— その後、デザイン系の専門学校へ進まれます。

はい。卒業後は、絵を描いていたいなという想いが強くありました。

画家のように絵だけで生きていけるようにはならなくても、何かしら絵に関われる仕事には就きたいと思っていたので、デザインの専門学校に進むことを決めました。

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—— 専門学校では、おもにどんなことを学んでいたんですか?

私の通っていた大阪デザイナー専門学校では、2年目から専門コースに分かれるんですけど、私は「絵本コース」を選びました。

—— なぜ「絵本コース」を選ばれたんですか?

絵本が好きで、当時は絵本作家に憧れていたのと、その学校では絵だけでなく製本などの技術も学べること、そして担当されていた先生方のつくるお話が好きだったことがコースを選んだきっかけです。

—— 卒業後は、絵本に関わるお仕事に就かれたんですか?

いいえ、会社に就職しました。現在は、アパレルの企画部で働いています。企画部ということで、一から絵を描くというよりはもっとデザイン寄りのお仕事にはなりますが、楽しく続けています。

chitose chitoseさんの作品

Works1

“身近に感じてもらいたい” から生まれたコンセプト

—— 現在はどういったテーマで制作されているんですか?

現在は、 “ご近所さん” みたいな絵をテーマに制作しています。「あら~こんにちは~」なんて、思わず挨拶しちゃうような、親しみを感じてもらえるような絵を描けたらと思っています。

—— “挨拶できちゃう” 感じですか!?(笑)

はい(笑)。顔見知りのご近所さんたちの生活をちょこっとだけのぞき見ている、そんなイメージです。絵の枠が窓で、そこから彼らの生活をのぞき見ているという設定です。

描かれた “ご近所さん” たちの生活を身近に感じてもらうことで、彼らや絵に対して親しみであったり、愛着であったり、親近感をもってもらえたら嬉しいなと思っています。

—— なるほど。ご近所さんって、chitose chitoseさんが描く動物たちのことなんですね!

そうです。

—— chitose chitoseさんの描く世界って、ほのぼのとしていて、見ていると気持ちが和む、そんな世界なので、この「ご近所さん」コンセプトにはすごく納得です!

ありがとうございます!そう感じていただけて嬉しいです。

—— どんなきっかけで、この「ご近所さん」コンセプトは誕生したのでしょうか?

自分の絵が買ってもらえたとして、相手にどんな風に思ってもらえるのが一番うれしいのかなって考えたときに、「身近に感じてもらえたら嬉しいな」と思ったんですね。そこから、親しみやすさをコンセプトに描くようになりました。

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変化の始まりは “相手に楽しんでもらいたい”という想い

—— これまでの作品を拝見すると、2017年頃から大きく作風が変化しています。どんなきっかけがあって、作風が変わっていったのでしょう?

大好きな動物たちを描くことは、ずっと変わらないのですが、2017年以前は、この動物のこの部分が好きだから、この動物のこのフォルムが好きだから、それを描くみたいな感じで描いていました。当時は、好きな動物たちを描けること自体がすごく楽しかったんですね。

でも次第に、自分が良いと思う、自分が好きだと思うものをだけを描いていていいのかなと考えるようになっていきました。

—— 何か、きっかけがあったんですか?

「もっと絵を楽しんでもらうためには、どうしたらいいのか?」を考えるようになったことがきっかけだったと思います。

以前の私の絵に対する反応って、“私への共感” がほとんどでした。自分の好きなものを描いて、その好きという気持ちに共感いただけることは本当に嬉しいことなのですが、でもそれ以上の広がりというものがなかったんですね。

次第に、絵を見る側が、描かれた動物たちの性格や生活を自由に想像できるような絵であれば、絵にもっと広がりが生まれて、もっと長く楽しんでいただけるのかなと考えるようになりました。

見る側に判断をゆだねるというか、受け取り方は人それぞれなので、あまり自分の意見を押し付けたくないなと思うようになってから、作風が変わっていきましたね。

—— 現在は、ご自身の好きなものだけを描いているわけではないと?

そうですね。もちろん、いいなと感じているものを描いてはいます。でも、この絵からはこういったことを感じて欲しいだとか、こういったメッセージを汲み取って欲しいだとか、受け取り方を限定しないように描いています。

以前は、私が好きなここを見て!という感じで、好きなところばかりを推している感じがありました。あと、以前は見た目をすごく大事にしていたようにも思います。

今は、描く動物たちの内面、彼らの性格やキャラクターなどを、受け手に自由に想像してもらえるような絵になったらといいなと思いながら描いています。

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誰だれっぽくない、自分らしい表現を目指して

—— なぜ、外面ではなく内面を表現したいと思うようになったのでしょう?

いろんな方に作品を見ていただく機会が増えるにつれ、多くの方から「もっと自分の世界観をつくったほうがいい」とアドバイスいただくようになりました

でも「自分の世界観」といわれても、始めはそれをどうやって表現したらいいのか全然わからなくて。でもそのうちに、絵の背景であったり、登場する動物たちの関係性であったり、そういったものを受け手が想像できるような絵になったら、世界観が生まれるのかなと考えるようになって、そこから現在の動物たちの生活を垣間見るような作風が生まれました。

—— 作風を変えたと割りと簡単にお話されていますが、ものすごいチャレンジですし、労力も相当なものだったと思います。chitose chitoseさんは、ご自身の変化の中でどんなことが大変でしたか?

オリジナル性を出すという点が、一番大変でした。

ちょうど変化の真っ只中にあった頃の作品は、よく「◯◯さんのタッチに似ている」 「◯◯さんの絵みたいだね」と発表する度に言われていました。そこから抜け出すこと、誰だれさんっぽくない、私らしい作風を表現すること、ここが本当に苦労したところでした。

大きな方向性を決めて、それに向かって軌道修正していく過程でオリジナリティも出していく、いま振り返ってみると、この工程が本当に大変でした。

—— 抜け出すために、どんな工夫をされたんですか?

まずは、つかう画材を一変しました。そして、単体で描くことの多かった動物のまわりに花を描いたり、プラスα のモチーフを描くようにしました。とにかく、これまでやったことのないことは何でも試してみました。

こういった試行錯誤を繰り返えしながら、ようやく現在の作風にたどり着きました。また大変嬉しいことに、現在の作風になってからは、展示やイベントへお誘いいただくようにもなって、ようやく自分らしい絵を表現し始めたのかなとも感じています。

文:mecelo編集部 / 写真:photondo 安藤博美

後編では、ご入選されたボローニャ国際絵本原画展について、そして今後のチャレンジについてお話しいただきます。

chitose chitoseさんインタビュー 後編はこちら

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