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メキシコってどんな国?! ー 「知りたい!」という衝動から動き出した私の作家人生【後編】

メキシコに魅せられ、幾度となく現地を訪れては、そこで得られたインスピレーションを作品として発表されている fumikotenさん。後編では、制作をつづけていくことの苦労やfumikotenさんならではの「出会いの引き寄せ方」、そして今後のチャレンジについてお話しいただきます。

アート作品をもっと身近に感じてもらうために

—— fumikotenさんは立体作品も魅力的ですが、こちらはいつ頃から作られているんですか?

最近ですね。昨年メキシコへ訪れた際に、陶芸に初チャレンジしまして。それから少しずつ、立体作品にも手を広げています。

—— どんなきっかけで作り始めたのでしょう?

これもメキシコの民芸品からの影響なんですが、小さな置き物がちょこんと目の前に置かれているだけで、気分が明るくなったり、なんだか見守られている気持ちになったりするなと思っていて。“そこにあるだけで、毎日がちょっと楽しくなる” ー これって、私が作品をつくるコンセプトとも繋がっているなと思って、置き物を作り始めました。私の作った小さな置き物が、日々誰かを楽しませてくれたらいいなと思いながら作っています。

あとは、作品をより身近に感じてもらえるのではないかとも思っています。額装された絵を見て、「よし、これを買って帰ろう!」とはなかなか思ってもらえないですけど、小さな置き物であれば、「おみやげにひとつ買って帰ろう!」って、手元に置いてもらえやすいかなと。

—— 「絵を買って帰る」という行動は、日本ではまだまだハードルが高いですよね。

そうなんです。絵は「ハードルが高い」と感じている方も多いかなと思って、それでもっと身近に感じてもらえるものができないかと考えて、小さな置き物を作るようになりました。最近は、単に飾るだけでなく、使ってももらえるようにマグカップなどのグッズも制作しています。

一点物の絵に比べて、置き物やグッズはたくさんの方のもとへ届くので、いろんな方に使ってもらっている、生活の一部に仲間入りさせてもらっていると想像できるのも、置き物・グッズ作りの醍醐味ですね。

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続けていくことよりも、描けない時間があることが辛い

—— 作家業の他に、生活のための仕事もされているそうですが、どのように時間配分されているのでしょう?

私は、仕事と創作活動の両立が上手くできないタイプなので、仕事メインの期間と、創作活動メインの期間をそれぞれつくり、交互に行っています。

とはいいつつ、できるだけ創作の期間を長くしたいので、生きていけるギリギリまでは仕事はせずに、本当にダメになったらしぶしぶ働きだすというパターンが多いです(笑)。現在も創作期間中なので、できるだけこの期間を長く続けられるように日々頑張っています。

—— 創作を続けるために苦労されたことや、逆に「もう作家なんて辞めたい!」と思ったことはあるんですか?

どんなに大変でも、作家を辞めたいと思ったことはないです。

個人的に一番つらいのは、仕事メインの期間中に、ほとんど創作活動ができなくなってしまうこと。絵を描けない、作品を作れない期間が一年くらい続くと、ストレスが溜まりに溜まって、もう一日も働きたくないって思うようになってしまうので(笑)。

そうやって、描きたい気持ちを我慢しているときが、私の中で一番つらい時ですね。

—— 描き続けることより、それ以外のことを強いられる方が辛いんだと。

例え、やりたいことのためであっても、全く好きではないことをやるのって、しんどいじゃないですか。とはいえ、多少の我慢や障害はあったほうが、自由になったときの解放感は半端ないですし、抑圧されていた分、創作意欲もすごく高い状態にあるので、我慢することも、必ずしもダメではないんですけど(笑)。

まだ、絵だけで食べていけてないことは残念ではあるんですが、でもそれに対しては、実は焦ってないというか。「早く成功したい」と焦るよりも、「どうやったら継続できるのか?」を楽しみながら考えたいですね。

私は「作家になるぞ!」って決めてしまったら、真面目になり過ぎて、すぐにダメになってしまうタイプだと思っているので、ちょっと遠回りしつつ、楽しみながら続けていきたいなって、そう思っています。

—— 遠回りになってもいいから、楽しく続けられるほうが大事なんだと。

そうですね。今までも、働く時は働いて、描く時は描いて、これを繰り返してきたことで、徐々にですが、作家や作品のことを知ってもらい、描く時間を増やしてきました。なので、今後も描き続けていけばどうにかなるんじゃないかって、ちょっと楽観的に考えているところはあるかもしれません。

—— 以前から、そのように考えていたんですか?

これもメキシコの影響かなと思います。ついつい目先のことばかりを心配して、今をまったく楽しめていないなんてことが、これまでたくさんあって。でも、メキシコとそこに生きる人々に出会ったことで、私も「何とかなるでしょ〜」って、そういう風にちょっとゆとりを持って考えられるようなった気がしますね。

fumikotenさんの作品

損得ではない純粋な衝動が、次へつなげてくれた

—— メキシコとの出会いが、その後の生き方に大きく影響しているんですね。どうしたら fumikotenさんのように、自分にプラスになる出会いを見つけられるのでしょう?

特段、私がそういったことに秀でているわけではありません。今から新たに何か見つけてくださいといわれても、きっと同じようにはできないと思います。ご縁というか、本当に “たまたま” なんです。見つけようと血なまこになったところで、見つけられるものでもないと思います。

ひとつ言えるとしたら、ちょっとでも気になったこと、知りたいと思ったことについては、ちょっと深く調べてみること。私もメキシコの民芸品を見て、心に引っかかったものがあったので、その後いろいろと調べました。そうしたら、どハマリしてしまって(笑)。

そう考えると、自分が少しでも気になったことに対して、満足いくまで調べるなり、行動してみるなりすることで、次につながっていくんだと思いますね。

—— 実際にメキシコを訪れた際、創作のヒントを得られるような出会い等を、少なからず期待されていましたか?

そういう期待は、全くしてなかったです。純粋に「メキシコをもっと知りたい!」という気持ちだけでしたね。作家としてではなく、単に「なぜ、自分はこんなにもメキシコが気になるのか。その理由は何なんだろう?」って、その解を知りたいがためだけに行ったようなものです。

—— では、本当に好奇心の赴くままに、訪れたということ?

そうですね。行動した結果、なにか得られるものがあるのかとか、自分にどう影響するのかとか、そういったことは全く考えずに、かわいい民芸品をたくさん買ってこようくらいの軽い気持ちでした(笑)。

—— とはいえ、fumikotenさんにように、はじめの一歩を踏み出せるか否かは、すごく大事ですよね。

本来は慎重派なので、これまでの人生を振り返ってみれば、一歩が踏み出せなかったことのほうが多いんですが、メキシコに関しては、なぜかスッと踏み出すことができました。

本当に、メキシコへ行って良かったですよね。今お話していて、改めて「あぁ、あのとき訪れて良かったな」って思いました。

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今後は、新しい表現方法を積極的に取り入れていきたい

—— 今後、チャレンジしたいことについて教えてください。

やってみたいことは色々あるんですが、絵を好きになったきっかけでもある「絵本」は作ってみたいと思っています。

あとは、昨年から陶芸や銅版画にも挑戦しているのですが、今後もさまざまな技法や手段を試しながら、新しい表現を取り入れていきたいですね。

—— 新しい表現方法ですか?

はい。昨年、初めて陶芸を体験したときに、とても新鮮な気持ちになりました。ずっと平面の絵だけを描いてきたので、それと全く異なる方法で表現するということが、とても面白かったんですね。そこでの出会いも新鮮で、すごくよい経験だったので、今後もこういった新しい試みを続けていきたいなと感じました。

あと、これからの課題として、あまりメキシコ、メキシコって、それだけになってしまわないように、あえていつもとは違う場所へもどんどん出向いて行きたいなと思っています。メキシコから得られたものを、いろんなものに繋げていって、そこから全く異なる世界を作っていきたいですね。

—— なるほど。メキシコ以外のさまざまなエッセンスを取り入れた、Fukmikotenさんの新しい世界も見てみたいです!メキシコ以外で興味のある国はあるんですか?

チェコや南米へは行ってみたいですね。でも、アジアへもまだ行ったことがないので、今はどこへでも行ってみたいかも(笑)。

—— ご自身の好きなもの、好きなことについて、瞳をキラキラと輝かせながら楽しそうにお話されていたfumikotenさん。今後も大好きなメキシコを軸に、楽しさ・面白さにあふれた世界を表現し続けていただきたいです。本日はありがとうございました!

文:mecelo編集部 / 写真:takamuneito

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