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生活の一部になるような絵を届けたい ー 遠い未来の“憧れの人”と別れて芽生えた新たな目標【後編】

ご自身の “現在と未来” そして “今の葛藤”を、ありのままに表現された「Lilyの計画」の作者・リリィ・クマチャンさん。後編では、ご自身のメンタルをコントロールする方法から、独特の色彩についてのエピソード、そして今後のチャレンジについてお話いただきます!

描き続けるために、インプットとアウトプットのバランスを学んだ

—— これまでに、ご自身の絵をお仕事として描いたことはありますか?

はい。似顔絵のお仕事をいただくことが多いです。あとは、結婚式のウェルカムボードや招待状のデザイン、お店のアニバーサリーカードのデザインなどです。でも、圧倒的に似顔絵のご依頼が多いですね。

—— どんな似顔絵を描いているんですか?

水彩絵の具で、リアルタッチの似顔絵を描いています。

—— 初めて依頼が来たとき、どうでしたか?

めっちゃテンションが上がりました!デザインや絵のお仕事をいただくことは、ずっと憧れていたことで、ずっとやりたい気持ちがあったので、初めてご依頼をいただいたときは、すごく悩んだりもしたけど、嬉しくてテンションはずっと上がりっぱなしでした(笑)。

—— ちょっと困難なことにぶつかっても、割とポジティブにこなしていくタイプですか?

ポジティブに見られることが多いです。ポジティブに見えて実は... みたいなところはありますけど(笑)。

—— 落ち込んだりするときも?

はい、あります。すごくあります(笑)。

—— 絵を制作している途中で、落ち込んでしまうことも?

ありますね。夜中にドツボにはまってしまって、そのあと全く眠れなくなってしまったりとか。ひとつのことに執着して、そのことばかり考えちゃうところがあって。何かひとつに対して、ダメかもって考え始めちゃうと、もう全てがダメかも!って思ってしまうこととか多いですね。人といるときは割りと大丈夫なんですけど、家に帰ってひとりになるとすごい考えちゃいます(笑)。

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—— ドツボにはまってしまったときは、どうされるんですか?

何かしら手を動かしたり、行動するようにしています。

—— 絵のことであれば、まわりに相談することも?

相談はしますが、相談しても解決できないこともけっこうあるので、自分の制作や作品に関する悩みについては、できるだけ自分で解決するようにしています。

何度も悩んだことで、自分なりに分かってきたことがあって、煮詰まっているときは、大抵はアウトプットのし過ぎで、インプットが足りなくなってきているときなんです。なので、そういうときは描くことを一旦止めて、本屋さんに行って画集を見たり、SNSでお気に入りの作家さんの作品を見たり、そうやって積極的にインプットの時間をつくります。

逆にインプットし過ぎちゃっても、同じように悩み始めてしまうので、そうなったら次はどんどんアウトプットするようにする。そうやって調整することを学びました。

—— 描かない時間をつくることで、逆に描きたい欲求が芽生えてくると。

そうですね。好きな作家さんの画集をひたすら見まくって、描きたい欲求が湧いてくるのを待つ感じです。描きたい欲求がないときに描いても全然楽しくないので、描きたくなるまでひたすらに何かをインプットするようにしています。

ひたすらにインプットを続けても、描きたい欲求が湧いてこないときもあります。そういうときは、気持ちがのらなくても、無理矢理にでも手を動かします。

しかもなぜか、そういうときの作品に限って、意外と上手くできたりすることがあって(笑)。すごく悩んで、苦しんで、描いていたときも全然楽しくなかったのに、描いた後に周りから「すごくいいね!」なんて言われてしまうと、すごく複雑な気持ちになります(笑)。

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ファッションが変わって、ダイナミックな絵を描くように

—— ショップカードやフライヤーをよく集められていると伺いました。

はい、好きで集めています。文字の入り方が面白かったり、形がすごく変わっていたり、そういったデザイン性のあるものを集めています。数がたくさん集まってくると、自分の好きなデザインの傾向が見えてくるので、とりあえず、いいなと感じたものはいただくようにしています。

集めたショップカードやフライヤーは、専用のファイルに保管していて、デザインのアイディア出しをする時などに、パラパラっと見返したりします。

—— 集めだすと、どんどん増えていくと思いますが(笑)、定期的に整理されるんですか?

そういえば、古いものとか、ほとんど捨てたことがないかもしれないです。ファイルを見返すタイミングで、ちょこっと整理する時もあるんですが、ごっそり捨てたことは今までないです。

もともと物がたくさんあるのに捨てられない性格で、いろんなものがどんどん溜まっていちゃうんですよ(笑)。ファイルに入り切らないフライヤーとか、どうしようもなくなって、壁に貼ったりとかしてます(笑)。

—— どんなものが多いんですか?

服が好きで、服はたくさんありますね。しかも、服の好みってころころ変わるくせに、なかなか捨てられないから、もうずっと着てないのにクローゼットに仕舞ってある、みたいな服が多いです。

—— ファッションにはいつ頃から興味を?

興味を持ち始めたのは高校のときです。当時は、今からは想像つかないかもしれませんが、森ガールみたいな格好をよくしていました。白っぽい淡い色合いのものとか、レースを使ったものとかをよく着ていました。

今のように原色を着るようになったのは、大学3年生の頃くらいから。1〜2年生の頃は、わりと普通の格好をしていたんですけど、3年生くらいからちょっと変わった、奇抜なデザインの服を着るようになって。古着にハマりだしたのがきっかけなんですけど。

—— 古着にハマるきっかけは、何かあったんですか?

特にこれといった理由はないかな。よく通っていた古着屋の店員さんのファッションに興味を持つようになって、見る度にいいなぁって思っていたから、だんだん店員さんのファッションに似ていったのかなと。気がついたら、こんなんになっていました(笑)。

—— ファッションが変わって、作風に影響はありましたか?

ガラッと変わりましたね。1〜2年生の頃は、今のようなダイナミックさは全くなく、水彩絵の具をつかった優しく繊細な絵を描いていました。3年生になってからは画材もアクリル絵の具に変わって、パキッとした印象の絵に変わりましたね。

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絵でもファッションでも、私をとりまく三原色

—— クマチャンさんの絵は、独特の配色だなと感じたのですが、画材が変わって、選ぶ色も変わりましたか?

自分では気がついてなかったんですが、友人からは「赤・青・黄色の3色のバランスを、必ず保って描いてる」って言われたことがあります。そう言われて、作品を見返してみると、たしかに赤・青・黄色の3色が必ず使われていました。

バランスは作品によって変わるし、青色が緑色になったり、赤色がオレンジ色になったりすることもあるんですが、基本的に赤・青・黄色の3色が使われているなって。無意識にその配色を選んで描いているみたいですね。

—— 3色のバランスを保つというのは、その3色がほぼ均等に使われているということ?あるいは特定の割合で使われているということ?

どの色を使うかは、描きながら直感で決めていくことが多いのですが、基本的に赤・青・黄色の3色をベースに着色することが多いです。3色の色の割合は、全体のバランスを見ながら調整していきます。例えば、青色の割合が多いなと感じたら、差し色で黄色を入れるという具合ですね。

—— なるほど。上手くその3色を取り入れたいと。

実は、洋服でもこの3色をよく使っているらしくて。一度、意識してチェックしてみたことがあったんですが、「この3色でコーディネートしてる!」って日がかなり多かったです(笑)。靴が赤で、ベルトが青、そしてコートが黄色。お!あの3色だ!って(笑)。絵以外でも無意識にこの色を選んでいるみたいですね。

—— クマチャンさんにとって、しっくりくる配色なんですね。

そうかもしれないです。

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自分の絵を通して、人が幸せを感じてくれたら嬉しい

—— 今後のチャレンジとしては、まずは大きな画面に絵を描きたいと。

大学4年生のときに、大学から学生ひとりひとりに制作ブースを提供していただきました。制作環境が格段によくなったこともあって、4年次は大きな絵にチャレンジしていました。

当時、大きな絵を描く習慣があると、小さな絵を描くときでも、大きな絵で描くような勢いが出るから良いとアドバイスいただいたこともあって、小さな絵だけでなく、大きな絵も、どちらも描いていきたいなと思っています。

—— また、“人の生活の一部になるような絵を描いていきたい” とのことですが、具体的にはどんなことなのでしょうか?

人の生活の一部になるような絵 = 家の中に飾ってもらえる絵です。今まで自分の絵を売ることはしたことがなかったのですが、今後は、自分の作品が、誰かの元へ渡っていくというのをやっていきたいと考えています。

—— なるほど。ご自身の作品を、相手の生活、人生の一部分にできたらと。

例えば、私は自分の部屋に好きなアーティストの絵を飾っています。その絵は、生活の中の彩りにもなっているし、何よりも制作のモチベーションを高めてくれる存在なんです。

そんな風に、私の描いた絵が、人を元気にしたり、優しい気持ちにさせたり、幸せに気分にさせたりすることができたらいいなと思っているので、いろんな人のところへ絵が届くようになったらいいなと、夢見ています。

—— この4月から新たな一歩を踏み出されたリリィ・クマチャンさん。ご自身の絵をたくさんの人へ届けたいという想いが、いつか憧れの “Lily” に届き、そしてLilyと出会える日がくることを楽しみにしています。本日はありがとうございました!

文・写真:mecelo編集部

リリィ・クマチャンさんインタビュー 前編はこちら

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Iconリリィ・クマチャン

イラストレーター / アーティスト