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外からの刺激ばかりを求めていた僕が、自分の内側に目を向けたことで取り戻した “自分らしい生き方”【後編】

まるで “心の中” を描いたような、独特の抽象画を描く Shizuki Kagawaさん。インタビュー後編では、創作のコンセプトから、「日々の生活すべてが創作活動だ」と話すKagawaさんの真意、そして今後のチャレンジについてお話しいただきます。

コンセプトは “無意識とつながって描くこと”

—— 現在は、どのようなコンセプトで制作されているんですか?

自分の意識からは、 “できるだけ離れて” 描こうと思いながら制作しています。自分の内側の深い部分まで潜っていって描いた絵には、自然や宇宙のエネルギーが反映されると考えていて。こうありたいと意図した自分ではなく、限りなく無意識の、 “本当の自分” を表現したいと思っています。

自分自身をさらけ出して、心を裸にして、狂ったように描いた方が、作品としても面白いですし、本当の意味で誰かのためになるんじゃないかなと思っていて。そういった理由からも、 “無意識とつながって描くこと” をコンセプトに制作しています。

—— “無意識とつながる” とは、具体的にどういったことなのでしょう?

簡単に言っていますが、無意識とつながるのは、実はすごく難しいんですよ(笑)。

無意識とつながるためには、まず自分が完全にリラックスした状態でないといけません。自分が心地よい状態でいるときに、自分の内側と対話していくことで無意識とつながることができます。

対話とは言っていますが、それは言葉による対話というよりは、もっと感覚的なもので、目指すのは「無」の状態です。そうして、「無」の状態になると、無意識からイマジネーションが湧き出てきます。

とはいえ、「無」の状態になるのって、言うほど簡単ではなくて。「無」になろうとしても、ついつい何か考え始めちゃって、気がつけば雑念だらけになっていたりします(笑)。

僕は、「無」の状態になるために、よく瞑想をするんですが、瞑想って習慣になると、日々の些細なことにも意識が向くようになるんですね。例えば、お皿を洗う水が冷たいなとか、野菜がパリっとして瑞々しいなとか、床を磨いたら気持ちがいいなとか。そういった日々の小さな感動や発見が、すべて創作につながっています。

—— 日々の小さな感動が、Kagawaさんの創作の動機になっているんですね。

そうなんです。「描くために瞑想してますよ」って言うと、なんだかすごいことのように思われるんですけど、実際はもっと地味で(笑)。爪を眺めているだけでも、創作のインスピレーションが湧いてくるみたいなことなんです。

なので、あまりテーマをがっちり決めて描くことはありません。これを描こう、あれを描こうって思いながら描くと、僕の場合はなぜだかロクな絵にならないんです。そういう意味では、あえて “何も考えないこと” がテーマなのかもしれませんね。

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Shizuki Kagawaさんの作品

僕にとっては、日々の暮らしのすべてが「創作活動」

—— 無意識、瞑想という言葉がでてきましたが、Kagawaさんにとって、創作する上で最も重要な要素はこの2点ということ?

一番は、日々の暮らしが整っていることだと思います。基本的な、衣食住だとか。例えば、外食がずっと続けば、胃腸は疲れますよね。そうやって疲れているときって、あまり創作したいとは思わないですし、逆にお酒ばかり飲んでハイな状態のときも創作したくないです(笑)。

経験からも分かるんですけど、身体が整っているときって、心も整っているんですよ。なので僕の場合は、ごくごく普通の暮らしが営めれば、いつでもかかってこい!くらいの気持ちで描けるんです。

僕は、日常の延長に創作があると信じているので、基本的な生活がおくれていないと、逆に何もできない。辛い時、しんどい時に絵を描こうだなんて、1ミリも思わない(笑)。改めて、体調管理ってすごく大事だなと感じています。

—— 勝手なイメージですけど、表現活動って、心の振り幅が大きい方がよりできるのかと思っていました。

もちろん、人によって様々だと思います。でも僕の場合は、いかに波風立てないことが大事なんです。だって気持ちがハイな時は、ほかの楽しい事をしたいって思っちゃいますし、逆に凹んでる時に絵なんて描きたくないですから。静かな状態というか、気持ちが落ち着いている状態でないと、僕の場合は描くことができないんです。

体調を崩していた時、自分の気持ちがすごい勢いで上がったり下がったりして、そのアップダウンがすごく辛かったんです。上がり過ぎても下がり過ぎても辛い。だからこそ、どちらでもない振り幅ゼロのところでいたいって思うんだと思います。

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—— Kagawaさんにとって描くということは、ご飯を食べたり、お風呂に入ったり、そういう日常的な活動を行うときと同じテンションでやるべきことなんですね。

そうなんです。本当は、もっとこう、ドラマチックな感じで描きたいとも思うんですけどね(笑)。

—— でもこれこそが、Kagawaさん “らしさ” なんでしょうね。

僕の場合、日々の生活を普通におくれて、はじめて創作ができる段階に移ることができます。だから、毎日の暮らし、朝起きてから夜寝るまでのすべてが、丸ごと創作活動なんですよ。

例えば、河原でぼーっとしているように見えるときでも、実は何かしらのインスピレーションを感じ取っている最中かもしれません。でも、そのぼーっとしているように見える時間に対しての報酬はありません。お金、いただけないですよね(笑)。それが今の悩みというか。

—— 画家の報酬について、ということですね。

一般的に、絵の売上は、画材や実際に絵を描く時間に当てられるべきだと考えられることが多いですよね。でも僕の場合は、日々の暮らしの延長に創作があるので、生活にかかる費用やちょっとした娯楽に、絵の売上を使ってもいいんじゃないかと思うんですけど、何となくそれが許されない空気があって。

創作のためのヨーロッパ旅行とか留学とか、そういった大きなことには皆さんお金を出すけれど、日々の生活費となるとちょっと厳しい空気がある。僕は、そういった空気が堅苦しいなと感じていて。とはいえ、まだ胸のうちで思っているだけで、外に向かって伝えることが全然できていないことも悩みなんですけど。

—— そういった発信をされている人や団体はいるんですか?

最近は、こういったことを発信する人たちが増えてきたように感じています。

そんな風に発信していきたいと思いつつも、実際に売上の使い方について聞かれたら、きっと「画材を買って、絵の制作に当てます」って、そう答えちゃうんだろうな。もうちょっと強くなりたいですね(笑)。

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—— 最後に、今後のチャレンジについて教えてください。

実は最近、アートセラピーに関心があって。アートセラピーでは、自分の嫌いな部分を描こうとすると、不思議と自分の好きな部分も絵に表れてくるという面白い側面があって、描いた絵の中に、自分の光と影、両方の部分が浮き上がってくるんです。

光と影、どちらの部分も備わっていることが人間であり、また影の部分をも認めてあげることで、人間って自分らしくいられるというか、生き易くなるだろうし、病気にもなりにくくなる。

自分の体験をとおして得られたことを、僕はアートを通して、誰かに伝えたいと思っています。そのためにも、まずは自分でアートセラピーを体験して、自分自身の光と影を受け入れたいなと。そして、内面世界や目に見えない領域の “探求” を、絵を通してやっていきたいと考えています。

—— 単に鑑賞するだけの「絵」ではなく、自分自身を探るツールとしてアートを活用したいという思いがあるんですね。

はい。今も描いた作品は、壁に貼っていて、いつでも見返せるようにしているんですが、絵って、見る時々で違ったものに見えるんですよね。経過した時間だとか、その時の気持ちや体調なんかで、同じ絵でも違ったものに見えるんです。

その “違い” というものを探ってみたい気持ちもあるので、まずは、自分自身との対話の “ツール” として、アートセラピーを使ってみたいなと思っています。

—— すごく Kagawaさんらしいアプローチの方法だなと思いました。

アートセラピー以外では、映像や言葉、音楽などの要素を取り入れた表現活動もしていきたいです。

最近は、写真や紙を切って貼ったりする、コラージュ制作も進めていて。基本的には、絵を描くことのほうが多いですが、ちょっとずつ違ったことにもチャレンジしています。

あと、僕には夢があって、自然豊かな場所にギャラリーとアトリエと自宅を兼ね備えた場所をつくって、まるでリトリートのような、訪れた方が休養できる場所を作りたいと考えているんです。

もちろん、まずは都会のギャラリーで自身の作品を発表して、多くの方に作品を見ていただく機会をつくっていきたいですが、最終的には自然豊かな場所で、 “アートでこころ休まる場所” というものを実現させたいですね。

—— “ご自身の経験から得られたことを、アートを通じて、皆に伝えていきたい” ー アートによって心が変わり、生活が変わり、人生が変わる。実際にそれを経験されたKagawaさんだからこその熱い想いが伝わってくるインタビューでした。本日はありがとうございました!

文:mecelo編集部 / 写真:Muta Aya

Shizuki Kagawaさんインタビュー 前編はこちら

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